第1段階 北朝鮮の攻撃

 北朝鮮の核兵器開発の試みの暴露は、朝鮮半島での軍事紛争の可能性を再び上げている。米朝両国は、状況を外交的に解決する希望を公式声明している。交渉が失敗すれば、軍事紛争は、潜在的行動方針となる。

 北朝鮮指導部は、北が戦争で南を打ち負かせば、最悪の場合でも、崩壊からの出口を見出せると信じている。北朝鮮が 危機を引き起こす可能性は、金正日が軍の支援に基づき国を統治しているため高いままである。北朝鮮は、韓国、中国、日本、及びロシアが危機を戦争に転じさせることを欲していないことに気付いているため、1994年の核危機 と同様、外界から譲歩を得るための手段として、戦争に向かうことを威嚇することにより、この平和を維持する意図を利用することができる。

 北朝鮮は、半島の完全征服よりはむしろ、限定的戦略目標を達成するために紛争を開始し得る。平壌は、いくつかの絶望的な状況が、PLAが望ましい結果を生み出すことを助けることによって、改善し得ると考えているかも知れない。中国は、1950年代初め、朝鮮にPLAを派兵したが、今日の状況は、1950年とは全く異なっている。1994年の核危機に引き続き、北京は、相互協力条約下での義務の不在を明らかにし始めた。1995年以降再三、北京は、中国が朝鮮人民軍(KPA)による韓国に対する敵対行動を支援するためにPLAを使用しないことを明確にした。中国外交部スポークスマンは、1995年後半、「中国は、北京と平壌間の友好条約が軍事力の派遣を要求する条約であるとは信じていない」と表明した。1997年初め、当時の外交部副部長Tang Jiaxuan(後に2001年に外交部長)は、韓国公式訪問時、北朝鮮が戦争を開始した場合、中国が自動的に介入するつもりはないと公式表明した。Tangは、中朝条約が「死文書」であると語った。1997年5月、李鵬首相は、公式声明において、北朝鮮は隣国でしかなく、同盟国ではないと述べた。合衆国がDMZを横断すれば、北京の反応は、米朝関係と米国の意図の状態に依存するだろう。関係が敵対的で、中国に対する脅威が存在するようであれば、北京は、行動するはずである。

 朝鮮において、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)は、イラクよりも大きな戦力を保有し、これらは、既に韓国国境に沿いに配備されている。戦争は、数週間ではなく、数時間又は数日のみの警戒後に勃発し得る。ペルシャ湾と異なり、この攻撃は、山岳地形の狭い半島に沿って遂行される。攻撃は、恐らく、大量砲撃、コマンド襲撃、及び化学兵器を伴うだろう。当初、主戦場は、おおよそ幅125km、縦深100kmでしかないだろう。北朝鮮の攻撃は、築城された陣地で良く準備された韓国軍とペルシャ湾よりも大規模な米軍に対して実行される。ほぼ間違いなく、北朝鮮の攻撃は、開城−汶山、金化、及び鉄原回廊を前進することにより、ソウル周辺の奪取を狙う。成功すれば、北朝鮮軍は、米国の大増援が到着する前に、半島全体を征服しようとするかも知れない。

 北朝鮮は、国境近隣の前方基地にその緊要部隊の55%以上を配備している。北朝鮮の短期電撃戦略は、米国の増援の朝鮮半島到着前に韓国を占領するために、戦争の初期段階において、奇襲の成功を想定している。約100万人を数える北朝鮮地上軍は、歩兵、砲兵、戦車、機械化及び特殊作戦部隊を含む約170個の師団及び旅団から成る。計約60個の師団及び旅団が、平壌−元山線の南方に配備されている。このことは、韓国に対する奇襲が部隊の事前再配置なしにいつでも可能であることを意味する。北朝鮮は、ソウルを射程内に、1990中盤水準の2倍、約500門の長射程砲を有している。北朝鮮海軍もまた、戦線近くの前方基地に、430隻の水上艦艇と約90隻の潜水艦の内約60%を配備している。戦線近くに配備されたその790機の戦闘機の約40%を以って、北朝鮮空軍は、短時間内に韓国のいかなる場所にも奇襲を掛けることができる。

 北朝鮮の南方攻勢の基本目標は、韓国がその国力を完全に動員するか、合衆国からの著しい増援が到着し、配備される前に、連合防衛を撃破することである。北朝鮮の軍事戦略の主目標は、開戦30日以内に北朝鮮の支配下に朝鮮半島を再統一することである。二次目標は、潜在的対攻勢に対する北朝鮮の防衛である。

 これらの目標を達成するために、北朝鮮は、2つの戦線で戦うことを想定している。通常戦力から成る第1戦線は、DMZに沿って防御する部隊を突破し、防御するCFC部隊を撃破し、半島全体を迅速に進撃することを任務とする。この作戦は、韓国の後方で襲撃及び撹乱攻撃を実行するSOF部隊から成る第2戦線の開設と密接に調整されるだろう。

 この2戦線戦略を満たすために戦力を発展させるに当たって、北朝鮮の指導者達は、合衆国又は米国が補給する韓国との技術的均衡を決して達成できないことを理解した。その代わり、彼らは、速度、並びに良く訓練されたSOFと連携した圧倒的な量の兵員及び火力に焦点を当てた。

 攻勢における北朝鮮軍の作戦目標は、韓国軍の短期撃破、機動戦を利用する高強度戦役である。これらの目標を達成するために、北朝鮮は、圧倒的な火力の利用を強調する機動地上部隊を発展させている。1970年代後半に始まった部隊機構及びドクトリンにおける最近の発展は、韓国に対する攻勢作戦を実行するために組織、訓練、配備された大機動現役部隊(SOFを含む。)と、北朝鮮を防衛するために訓練された予備部隊の2つの異なる部隊組織に帰着している。

 韓国に対する北朝鮮の攻勢は、3段階から成るだろう。第1段階の目標は、DMZ沿いの防御を突破し、前方配備された韓国軍を撃破することであろう。第2段階の目標は、ソウルを孤立させ、戦果を固めることであろう。第3段階の目標は、残存韓国軍を追撃及び撃破し、半島の残部を占領することであろう。

 第1、第2、第4及び第5の4個前方通常軍団は、「戦時戦闘」軍団と考えられている。これらは、ソウル北方の韓国軍の撃滅を主任務とする当初の攻撃を実行するものと予想される。撃滅の概念は、敵部隊をその場で撃破する必要性を絶えず声明しているように、北朝鮮のドクトリンにとって緊要である。前方軍団の事後の任務は、縦深での韓国軍の撃破である。

 残る通常軍団、第3、第6、第7、第8、及び平壌防御司令部(CDC)は、いくつかの可能な任務を有する。これらの任務は、後続部隊、完遂部隊の提供、並びに海岸、後方地域、又は首都防衛部隊としての勤務を含む。前方軍団の成功に応じて、後方軍団は、交替用に部隊を解放するだろう。2個機械化軍団と装甲軍団の一部は、ソウル以南で戦闘を実行するために、拡張部隊を提供するだろう。残る機械化軍団と装甲軍団の装甲車両は、DMZ北方の戦略予備を提供し得る。

 北朝鮮はまた、相当数の特殊作戦部隊を有しているものと信じられている。しかしながら、韓国の防御陣地を打撃するのに、これら部隊、又はそれを効果的に運搬する手段が十分であるとは信じられていない。これらの部隊は、撹乱機動に利用されそうである。これらSOF部隊は、韓国の防御に対して著しい影響を有しそうもない。SOF部隊は、適度なインフラ及び民間の損害を与えられるかも知れない。

 開戦直前、2個軍級司令部が、設立されるかも知れない。これら司令部は、DMZから釜山港までの作戦を統制するものと予想される。第1軍集団は、韓国西部に対する主攻の実行と、ソウル北方の韓国軍主力を撃破を担当する。第2軍集団は、韓国東部の攻撃支援及び第1軍集団の左側面の警戒の実行を担当する。

 北朝鮮は、3つの韓国への主要接近経路を使用するものと予想される。これらは、開城−汶山接近経路、鉄原峡谷接近経路、及び東海岸沿いである。いくつかの補助機動路が存在する。

 第2軍集団は、以下の部隊から成るだろう。

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第1梯隊:前方軍団から成る。その任務は、DMZ越えの当初の歩兵襲撃を行い、韓国の防御を突破することであろう。

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第2梯隊:機械化及び装甲部隊から成る。この部隊の主任務は、前方配備部隊を包囲し、撃破することであろう。

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第3梯隊:機械化及び装甲部隊から成る。この部隊の任務は、韓国の残存部隊を追撃及び撃破し、半島全体を占領することであろう。加えて、戦略予備部隊又は後続部隊は、要求されれば、全梯隊を増強するために存在する。

 北朝鮮は、機動力を重視しているにも拘らず、その歩兵部隊の広範囲な機械化に依存しないことを選んでいる。北朝鮮の機械化は、歩兵部隊の迅速な「防護」移動を提供することを目的とする。大部分、兵員は、歩兵戦闘車ではなく、装甲兵員輸送車又はトラックで移動する。部隊がその目的地に到着すれば、兵員は、可能な限り敵防御を通して乗車戦闘を行うロシア型歩兵戦闘車(IFV)戦術 よりはむしろ、伝統的な歩兵作戦を実行するために下車する。選別的機械化は、大量の装甲兵員輸送車又はIFVではなく、自走砲及び対空システムと戦車の使用を通して達成されている。過去、1990年代の北朝鮮地上軍は、交通困難な地形を利用する歩兵の能力に依存している。目標は、通常戦力で韓国部隊を圧倒し、路上に縛られることなく、機械化資産を以って突破を利用することである。

■拡張部隊

 前方軍団の攻勢作戦を支援するために、北朝鮮は、4個機械化軍団と1個装甲軍団を創設している。第806及び第815の2個機械化と、第820装甲軍団は、前方通常軍団による打撃を支援するために配備され、戦術拡張部隊であると考えられている。個々の機械化旅団は、歩兵により達成された突破を利用するため、前方軍団の統制下に譲渡されるかも知れない。その主目標は、韓国の戦線背後深くに前進し、韓国軍の撤退又は増援を遮断するために封鎖陣地を設置することである。各機械化旅団は、敵戦線の背後で独立作戦を行える。

 ソウル北方の韓国軍の撃破の成功は、北朝鮮がその作戦拡張部隊を投入することを可能とするだろう。この部隊は、軍司令部の統制下で運用され、軍団級の結束した作戦を実行するだろう。これらは、韓国前方部隊が撃滅された時に投入されるものと予想される。その任務は、ソウルと釜山間の地域の支配を導く緊要地形を迅速に奪取し、確保することである。

 北朝鮮は、攻撃を開始するために、装甲車両で3〜5:1、砲兵で6〜8:1、及び歩兵で4〜6:1の戦力比を模索するだろう。良く準備された防御陣地の突破を試みるに当たって、北朝鮮は、より大きな比率を模索するものと予想される。これは、疑いなく、DMZ防御を突破する試みでの事例であろう。

 諸兵科連合作戦は、北朝鮮のドクトリンにおける戦術戦闘の基盤を構成する。DMZから釜山までを戦うために機械化及び機甲軍団により増強された前方通常軍団の使用は、打撃部隊概念と呼ばれる。この概念は、北朝鮮が特にソウル南方又は北朝鮮の防衛 をいかに戦うかを表現している。

 北朝鮮は、不足、韓国の戦力、及び地形の考慮を埋め合わせるために、戦略を工夫している。任務組織アプローチを使用しつつ、北朝鮮は、戦力を圧倒し、韓国軍の弱点を利用することを目的とした大地上軍を配備、訓練、及び演練している。打撃部隊/グループは、軍団、師団、又は連隊/旅団の中核部隊辺りで編成される。状況の発展に応じて、装甲、又は砲兵のような補足部隊が、利用できる火力支援を著しく増加させるために転換され得る。更に、これは、自給自足機動部隊である前方要素(軽歩兵により増強される公算が大きい。)と2個機動要素という北朝鮮の3部戦力機構に現れるであろう。第2機動要素は、時折、予備として言及されるが、第1機動要素が主攻の先導 に失敗若しくは停滞するのを想定し、又は別の目標を攻撃するのに十分な戦闘力を含めている。

■米軍

 アメリカ人の犠牲に対する反感を知りつつ、北は、開戦時に米国の損害を最大化することを目的とした作戦を始めるだろう。北朝鮮が全面的軍事侵略を企図できる状態にはないにも拘らず、北による他の形態の軍事挑発は排除できない。1つの可能性は、限定又は全面砲撃及び/又はミサイル攻撃である。DMZ沿いの北朝鮮の前方配備中小射程砲兵とミサイルは、ソウル首都圏地域の大部分をカバーできる。北は、射程250kmのSA-5地対空ミサイル、射程50〜70kmのFROG-5/7地対地自由ロケット、170mm自走砲、及び240mm多連装ロケット発射機を前方配備している。北朝鮮は、韓国、合衆国、及び日本がソフトランディング又は交渉政策を放棄し、封じ込め及び制裁の強硬路線の立場を積極的に模索するか、合衆国が疑わしい核又は生物学兵器施設に対する打撃に着手した場合、砲撃/ミサイル攻撃を企図し得る。

 その12,000門以上の砲列を移動させることなしに、「平壌は、連合軍司令部の防御とソウルに対して1時間当たり500,000発までを数時間維持できる」と、2001年3月、Thomas A. Schwartz将軍は、上院軍委員会の前に証言した。Schwartzは、国連及び米韓連合軍司令部と在韓米軍の長である。

 1953年の朝鮮戦争終結間近、中国人は、米軍に対して1日当たり約100,000発を射撃することができ、1日当たりの発射弾数は、増加しつつあった。1日100,000発は、新しい戦争において日中となる。

 北朝鮮の核疑惑が国際問題として現れた1993年と1994年、北は、大量の改良型170mm自走砲及び240mm多連装ロケット発射機をDMZ直近の前方陣地に配備した。このことは、米国との核交渉を求めつつ、韓国の安全保障を脅かすことを明らかに意味した。

 KPAの強化砲兵陣地(HARTS)の大部分は、第2歩兵師団(Camp Casey)を打撃できる地域に存在していない。KPAがD-74(122mm砲)、130mm又はコクサン砲すらも持ち出しても、Camp Casey北西の山地は、長射程射撃が低弾道を要求する以上、楯を提供する。Camp Caseyは、西から東に走る峡谷内にあり、Casey北部の山地は、西方からの長射程砲射撃にいかなる防護も提供しない。 北朝鮮軍は、DMZの少なくとも西方5kmの射撃地点から、東西軸に射撃する長射程のコクサン砲でCaseyを砲撃できる。実際、「火砲が存在し得る」として典型的に描写される場所は、非常に険しい傾斜を有し、山地の稜線がHARTSの方向を射撃に適しないようにしている以上、砲兵に不適切である。

 Camp Greaves、Camp Giant、及びCamp Edwards Westのような他の駐屯地は、北朝鮮砲兵の十分な射程内にある。Camp Gary Owen(旧Camp Pelham)は、漢江中立地帯の西部及び北部に据え付けられた砲兵の射程内にある。1980年代中盤現在、大量の兵員が、駐屯地付近の15〜20人用のかまぼこ型兵舎に散在していたが、現在、100人と200人の兵舎に宿営している。

 1997年に完成した事前/緊急対多連装ロケット発射機ACTDは、朝鮮非武装地帯の真北に配備されている240mm多連装ロケット発射機及び170mm自走砲の脅威を無力化する悪天候、昼/夜間、端末間、センサー・砲手間の事前縦深打撃能力を上首尾に発展させ、誇示した。96会計年度朝鮮説明は、このACTDの「システムのシステム」がセンサー・砲手間の時間差の著しい減少をもたらし、所定の脅威を上首尾に攻撃するに当たって、地上、航空及び海上構成要素 の効果的な協調を提供することを証明した。余剰能力が、韓国で作戦可能である。

■ソウル

 韓国の人口の約40%が、ソウルから64km以内に居住している。ソウル市内と郊外を含むソウル回廊は、2,200万人以上の人口 を擁している。野外機動力を制限する水田がソウル北方の地形を支配しているが、ソウル西方の地形は、ソウルへの主侵攻経路を有する幅広い海岸平野である。鉄原又は汶山回廊を通ってソウルを攻撃する北朝鮮軍は、漢江又は臨津江(これら河川は、冬季に凍結するが、氷は、重装甲車両を支えられるほど強くない。)を渡河しなければならない。狭い東部海岸平野は、山地が東海岸からの部隊移動を困難にしているにも拘らず、余り配備されておらず、重度に防御されていない。

 北朝鮮は、韓国に著しい損害を与えるために、DMZの突破を達成する必要はない。ソウルは、北からの砲兵及びミサイルの射程内にあり、ほとんどの見積は、北朝鮮が大量の砲列とミサイルでソウルを砲撃するであろうとの結論を下している。以前の声明によれば、北は、ソウルに対して射撃するための陣地に、約500門の火砲を有していると信じられている。これら火砲は、防御部隊が標定する前に、首都に数千発を射撃できそうである。標定後ですら、これらの砲列は、全てが破壊される前に、暫くの間生き残りそうである。

 ソウルに対する潜在的損害の程度についての見積は様々である。これは、ソウルに対して射撃する砲列の正確な数と当該射撃の強度に依存しそうである。しかしながら、ほとんどの見積は、ソウルに対する砲撃及びミサイル攻撃が、韓国経済に大打撃を与え(短期的にも、長期的にも)、著しい市民の犠牲を引き起こす(攻撃に先立つ警戒に依存する。)ことに同意している。クリントン政権が1994年に寧辺の原子炉に対して部隊を動員したとき、計画立案者は、ソウルに対する北朝鮮による報復が40,000人を殺すとの結論を下した。北朝鮮が「最初の数時間で何千何百人も殺し得るソウルに対する砲撃」を引き起こし得るとの示唆は、北朝鮮による化学弾頭の使用の不在の下では起こりそうもない最悪の事例見積を代表しているように思われる。

 ある報告によれば、韓国の安全保障アナリストは、北朝鮮の170mm及び240mm砲が「ソウル及びその周辺に1分当たり10,000発を射撃できる」と示唆した。コクサン砲の数は、公表されていないが、北朝鮮がソウルを射程内に、1990中盤水準の2倍、約500門の長射程砲を有していると確実視されている。大口径自走砲は、典型的に、1分間当たり4発から8発の間の持続発射速度を有している。このことは、1分間当たり2,000発から4,000発の間の総砲撃速度しか示唆していない。北朝鮮の200門の240mm MRLは、12発又は22発を射撃して、4,400発以下の 最大発射弾数を提供する。

 DMZ沿いの北朝鮮の砲兵全てを考慮すれば、KPAが1時間当たり500万発以上の砲弾を射撃できるものと、あるソースにより見積もられている。この数値は、間違いのように思われる。約8,000門の正規砲列(前方及び自走砲)は、1時間当たり約50万発を射撃できるかも知れない(8,000門×1分間当たり平均6発×60分間)。約2,500門の多連装ロケット発射機は、恐らく、この射撃速度のかなりの部分を提供するだろうが(再装填時間を考慮して)、この射撃速度の回数は確かではない。

■WMD

 北朝鮮による大量破壊兵器の潜在的使用は、南に対する北朝鮮の攻勢に関する潜在的見積を深刻に複雑化している。当該兵器 の運搬を取り巻く多数の変数のため、WMDにより引き起こされる潜在的損害を適切に決定することは難しい。北朝鮮がWMDを使用するとすれば、化学剤が配備される公算が大きい。これは、いくつかの理由のためと思われる。北朝鮮の核兵器の状態は、正確に知られていないが、一般に、配備するには大きすぎると信じられている。同様に、北朝鮮の生物学兵器は、生物学運搬プログラムと、北朝鮮の生物学プログラムが北朝鮮の化学プログラム と同程度の注意を受けていない事実の複雑さのため、化学兵器ほど実行可能とは考えられていない。

■化学プログラム

 その生物学戦努力と同様、北朝鮮は、長期的な化学戦プログラムを有していると信じられている。北朝鮮の化学戦能力は、その時代遅れだが、相当な化学産業を使用して、大量の神経、発泡、窒息、及び血液剤 を生産する能力を含む。北朝鮮は、化学剤及び兵器の著しい備蓄を保持しているものと信じられている。

 北朝鮮は、各種運搬手段に合わせて化学兵器を弾頭化できるものと信じられている。これらは、弾道ミサイルだけではなく、砲兵及び航空機、そして恐らく非正規手段も含むだろう。実際、合衆国は、北朝鮮が非武装地帯(DMZ)沿いに配備した長射程砲と弾道ミサイルの一部が、前方配備の米軍及び連合軍、並びに後方地域の目標に対して化学弾頭を投射できると信じている。北朝鮮軍は、汚染環境下での運用を準備されている。彼らは、定期的に化学防護作戦を訓練している。これら化学防護部隊は、探知及び除染システム両方を有している。その任務は、偵察及び兵員の防護機材使用の訓練を含む。軍民人員に対する化学訓練及び演習は、年々一貫して増加している。北朝鮮の化学兵器(CW)生産能力は、年間約4,500t、戦時には年間12,000tに増加し得るものと見積もられている。北朝鮮は、マスタード、ホスゲン、サリン、及びV型化学剤の弾頭化を重視しているように思われる。報告は、北朝鮮が化学原料、加工物、及び実際の化学剤が生産及び/又は貯蔵されている約12ヶ所のCW施設と、6ヶ所のCW兵器用の主要補給所を有していることを示している。北朝鮮はまた、非武装地帯(DMZ)とソウル射程内のCW投射に特に効果的な多連装ロケット発射システムを含む数千門の砲兵システムも配置している。平壌は、化学兵器禁止条約(CWC)に署名していない。

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最終更新日:2003/08/10